まちづくり、都市の活性化への貢献にも期待

トウモロコシはバイオマスエタノールの原料として有望。しかし、食料問題の観点からエネルギー利用への批判もある。

バイオマスエネルギーの進展を考えていく上で、さらに議論を深めていかなければならない課題も立ちはだかっている。例えば、「本来の用途との競合」である。バイオ燃料として活用されている主な原料は、サトウキビやトウモロコシなどの食料。仮にバイオ燃料のニーズが急激に増大したとすると、食料価格の高騰などにつながりかねないと指摘する見方もある。

また、バイオ燃料の生産を拡大するために、森林の伐採などを助長してしまうのではないかという意見も出ている。そもそも資源が存在する場所は広範囲にわたっているため、収集・運搬コストが高くなるという問題もある。ぜひ、効率的な収集・運搬システムの構築に期待したいところだ。

一方、日本では2012年9月、バイオマス関係7府省(内閣府、環境省、国土交通省、経済産業省、農林水産省、文部科学省、総務省)が共同で「バイオマス事業化戦略」をとりまとめた。そこでは、「地域のバイオマスを活用した産業化等を推進し、バイオマス産業を軸とした環境にやさしく災害に強いまちづくり・むらづくりを目指すバイオマス産業都市の構築を推進する」とされている。バイオマスの積極的な利用は、農山漁村などの自然循環環境機能の増進につながり、また都市の活性化にもつながる可能性を十分に有している。

いずれにせよ、他の再生可能エネルギーと同様、バイオマスもメリットばかりではない。だからこそ、太陽光、風力、水力といった多様なエネルギー供給源による最適な「強み」の組み合わせが不可欠だ。「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を機に、再生可能エネルギーへの注目度は急激に高まり、その周辺ビジネスも活況を呈しているのは間違いない。ただし、それを「バブル」で終わらせないためには、例えば冒頭で紹介した北九州市が進める「エコタウン事業」のように、明確なプランに基づき、「実践的」に展開していくことが求められている。