父に憧れて営業の世界へ

(左)ベイシア食品事業部グロサリー部バイヤー 谷口剛士さん
(右)サッポロビール広域流通本部広域営業統括部第3営業部 櫻井桃子
さん

「作品1号と2号です。どうですか、谷口さん」

「櫻井さんが作ったの。よくできてるけど、色のついた針金とか材料はどうしたの」

「ハイ、かっぱ橋で入手しました」

窓の外は空っ風が吹いていた。赤城山から。

群馬県前橋市にあるチェーンスーパー、ベイシアの本部1階にある商談スペース。サッポロビール広域流通本部第3営業部の櫻井桃子が持ち込んだ手作りの什器を、ベイシアのバイヤー谷口剛士は思わず手に取っていた。

ほんの2週間前、「小容量のワインをもっと売りたい。だが、棚に入れると小さいから埋もれてしまう。何とかならないか」と谷口は、ボールを投げた。これを受けた櫻井が、棚のサイドに吊す什器として試作したのが、1号と2号だった。その後、3号を作るなど試行錯誤は2カ月続き昨年3月から、関東を中心に100店舗強あるベイシア全店舗に作品は採用される。

谷口は酒類を担当し今年5年目。

「櫻井さんは気づきが鋭く提案スピードが速い。そして、何とも言えない潔さがある。今夏ベイシアは全店でヱビスを積極展開しています。もともとの高級ビールであり、親戚縁者が何かと集まる地方では人気。ザ・プレミアム・モルツと違い複数の種類があるのも田舎で受ける理由でしょう。実は、櫻井さんからこうしたブランドの魅力を伝えてもらっている。だから、ヱビス中心にと私は決めた」と谷口。

櫻井は、氷河期の就職戦線をくぐり抜け2011年に入社。首都大学東京の大学院理工学研究科(修士)で遺伝子学を修めた理系女子だ。「アパレルメーカーで営業をしていた父が素敵だったので、私も営業職を志しました。サッポロを選んだのは、お酒が好きだから。研究ですか? 目標を達成できたので区切りがついてました。なので、自分がやりたいことを目指したのです」。