ダラダラ生きていると、取り返しがつかなくなる

安定を求める私たちは、毎日の生き方において、安易に「安心感」に陥りがちです。世の中はすべてがずっと刻一刻変わり続けているのですから、私たちは毎日を注意深く生きなければなりません。今日も精一杯頑張れただろうか、何か問題は生まれていないかと十分注意を払う必要があります。仕事で業績を維持するには毎日さまざまな手を打たなければなりませんし、結婚後に家族がずっと幸せで仲良くいるためにも、毎日死ぬ瞬間まで努力し続けなければならないのです。

そのことに気づかずに、長年、毎日をダラダラと生きていると、小さな「ゴミ」が積み重なり、気づいたときには取り返しのつかない状態になっているのです。

しかし、すべては無常であり、あらゆるものは変わるのだと知れば、慢心せずに、毎日を大切に生きなければならないと気づきます。

「過去に惹かれるなかれ、未来に期待するなかれ」と、ブッダは説いています。人は往々にして現実から離れ、「夢の中」で生活しようとします。実在しない世界、つまり過去と未来に思いを馳せるのです。過去や未来のことを考えるのは妄想の中で生きるのと同じです。

ブッダはこれについて次のような意味のことを語っています。

「過去は過ぎ去ったものであり、もう存在しない。未来はまだ現れていないのだからわからない。過去の栄光を追ったり失敗を悔いたりしても意味がない、未来について心配しても仕方ないし、何かを願っても期待どおりにはならない。

過去や未来に囚われず、いま何が起こっているかを正しく観察し、動じることなく、怠らず、いまこの瞬間に行うべきことを実践しなさい。そうすれば心を煩わされることなく、解放された心で生きていられます」

これが「日々是好日」です。

この言葉は「今日はよい日だなあ」というような曖昧なものではなく、前述のようなきちんとした実践を伴った言葉なのです。「いま、ここ」に集中し、自分の力で「今日はよい日でした」と言えるような生き方をしなさいという意味なのです。