【田原】まったく別の事業を展開する可能性もありますか。

【村上】はい。たとえばですが、宇宙エレベーターとか、太陽光エネルギーとか、未来にはいまとは違う別のものがあたりまえになっているはず。そういうものをぜひつくってみたいです。

【田原】堀江貴文がロケットをやっているけど、ああいうのは興味ない?

【村上】興味あります。スペースXという会社のイーロン・マスクさんをご存じですか。彼はロケット開発や電気自動車事業を次々に手がけています。ああいうのはわくわくします。

【田原】村上さんは、堀江と同じでロマン派だね。そういえば、リクルートを創業した江副浩正もスケールの大きい人でした。江副さんは、それまで新聞や雑誌が記事を読ませるついでに広告を売るというのをやめて、広告そのものを売りものにした。でも、常識を破って一世を風靡した人は標的にされやすい。江副さんも未公開株でやられたし、堀江も検察にやられました。2人とも悪いことをしていないのに、嫉妬でやられた。村上さんは大丈夫?

【村上】いまのところ小さな会社なので心配していないですが、そのあたりのことは、まったく詳しくないので……。

【田原】村上さんにとって、幸せって何ですか。たとえば京セラ創業者の稲盛和夫さんは、感謝されることが幸せだと言っています。

【村上】その理念には共感します。私も人を幸せにすることによって感じる幸せを最大化していきたいです。

【田原】僕は、いまになって資本主義の概念が変わろうとしていると思う。これまで経営というのは、まず規模を大きくするとか、売り上げを伸ばすことを目標としてきたでしょう。だけど最近の経営者は、違いますよね。

【村上】ビジネスって、社会を最適化する1番のものじゃないかと思います。濁った水をきれいな水に変える浄化剤を提供する日本ポリグルという会社があります。その会社の会長がソマリアに寄付で浄水装置をつくったのですが、1年後にいくと、蛇口が壊れていたりしてうまくいかなかったそうです。そこで寄付じゃなくビジネスにしたところ、警備する人や売り歩く人が現れて、普及していったとか。ボランティアを否定するつもりはありませんが、ビジネスにはそうやって社会にインパクトを与えて最適化していく力がある。私はそこに面白みを感じます。