政府のいう「物価」は戦後「エンゲル係数」が7割もあったときに定めたものから、本質的には変わっていない。少しずつウエイトを調整してきているだけだ。いってみれば物価指数は「食うために生きた」時代の尺度なのだ。

しかし今日ではエンゲル係数は3割を割っている。そうなると人々にとって大切なのは、いわゆる「物価」ではなく「残る7割で買うもの」となってくる。これがまともな住宅であり、レジャーであり、教養、塾、旅行、株、別荘といった「人生を豊かにするもろもろのもの」なのである。つまり、いま買えないものを買えるようにすることによってはじめて、人々の生活は豊かになるのだ。食べ物のように誰でもが買っているものの平均値を鎮静化してみても、「豊かになった」という感慨はわいてこない。