02年9月、マレーシアでSCS国際会計事務所を設立。企業のグローバル展開のパートナーにはビッグ4と呼ばれる大手監査法人が選ばれることが多いが、料金やアジア中心のネットワークが強みになり成長。08年には持ち株会社制をとることでフラットな組織へと再編し、本部もシンガポールに移した。

「その気になれば、少徳&カンパニーのような形でスタッフに働いてもらい、楽をして儲けることも可能です。でも自分は1人の専門家として現場にいたい人間。10年後には社長を譲ろうと考えています。いまでもマネジメントと現場は3対7で、現場にいる時間のほうが長い。

会社を買いたいと打診されても、売るつもりもまったくありません。仮に5億で売って一生困らないお金を手に入れても、また同じ事業を起こします。私たちはコンサルティングと会計業務しかやらない。ほかのことが得意でないというのもあるけど、いまの仕事は自分にとって天職だと思っています。この仕事は毎日楽しいし、やっていることが好きだから、寝ていても解決策が浮かんでくる。

いい仕事をするために習慣としてやっているのは、走ることでしょうか。月に300キロと決めて、出張先でも走っています。仕事で頭だけが疲れている状態はバランスが悪い。それに走っているときはただでさえ辛いのに、そんなときに後ろ向きなことは考えませんから」

(文中敬称略)

SCSグローバル グループ代表 少徳健一
1971年生まれ。慶應義塾大学卒。公認会計士の資格を取得後、95年に国際的な会計監査法人であるアーサー・アンダーセンに入社。99年、マレーシア法人に駐在。2001年に退社。同年11月、マレーシア初の日本人公認会計士による国際会計事務所を設立。02年9月、東京にてSCS国際会計事務所の日本法人を設立。08年、持ち株会社をシンガポールに設立、本部を移転した。
(村上 敬=構成 葛西亜理沙=撮影)
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