■洞察力を養う格好の素材

『ネクスト・マーケット』

『ネクスト・マーケット』
    C.K. プラハラード/スカイライト コンサルティング訳/英治出版

世界の経済ピラミッドの底辺(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)に位置し、その数、40億人といわれる貧困層を対象にしたビジネスの豊かな可能性を明らかにした本。単なる情報としてではなく自分なりの問題意識を持ちながら、「これは意外に日本でも使えるかも」といった洞察力を養う素材として読み進めたい。

■失敗の本質は顧客への固執
『イノベーションのジレンマ』

『イノベーションのジレンマ』
    クレイトン・クリステンセン/玉田俊平太監修訳ほか/翔泳社

優秀な経営者や従業員が、顧客のニーズに対応しようと、“正しく”振る舞うがゆえに企業は失敗する。そういう驚愕のパラドックスを紹介した本で、掘削機、鉄鋼メーカーなどの実例に基づく記述はぐうの音も出ない迫真さだ。また、そうしたパラドックスを引き起こす「破壊的イノベーション」の恐ろしさを指摘する。

■儲け下手の日本企業分析
『戦略不全の論理』

『戦略不全の論理』
    三品和広/東洋経済新報社

企業にとって肝心要の戦略が機能していない状態を、著者は「戦略不全」と呼ぶ。その結果は収益力の低さとして顕著に表れる。この本のポイントは、日本の全上場企業の40年にわたる業績データなど、長期の時系列データを多数駆使した点にある。そうした長期データを使うと、なぜ日本企業が儲け下手なのか、思わぬ「洞察」が得られることが多い。