2013年8月1日(木)

世界のユーザー2億人「LINE」の秘密

PRESIDENT 2013年6月17日号

著者
野口 智雄 のぐち・ともお
早稲田大学社会科学総合学術院教授

1956年、東京都生まれ。一橋大学大学院博士後期課程単位修得後、横浜市立大学助教授を経て94年から現職。2006年から08年まで、客員研究員としてスタンフォード大学経済学部で活躍。88年、『現代小売流通の諸側面』で日本商業学会賞を受賞。『水平思考で市場をつくるマトリックス・マーケティング』『なぜ企業はマーケティング戦略を誤るのか』など多数の著書がある。

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早稲田大学社会科学綜合学術院教授 野口智雄=文
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サービス開始から22カ月で驚異的な成長

ICT社会の進歩は著しく、とりわけSNSの分野では、ツイッターやフェイスブックといった米国発の巨大なシステムがグローバルに浸透し、すでにコミュニケーションのインフラとなっている。

ところがこの両システムよりも、ずっとスピーディーに成長しているSNSが東アジアで開発されている。LINE株式会社が提供する無料通話・無料メールアプリの「LINE」だ。これは2011年6月のサービス開始からわずか19カ月目の本年1月にユーザー数1億人を突破した。これは、ツイッターの49カ月、フェイスブックの54カ月に比べ、格段に早い。その破竹の勢いはとどまるところを知らず、本年7月21日には、ユーザー数2億人を超えている。盛衰の激しいネット業界において、なぜこのような驚異的な成長を遂げたのであろうか。この秘密に迫ってみたい。

LINEという大ヒット商品をいかにして着想したのかに関してLINE執行役員の舛田淳氏に尋ねてみた。氏は、「まずわれわれには世界を目指すサービスをつくりたいというピュアな想いがありました」と高邁な理想を語る。しかしサービス提供当初、ヒットがないという状況だったという。

ところが、アップルが iPhone3を発売したときに転機が訪れた。これからは、確実にスマートフォンの時代がやってくると確信した。フィーチャーフォンやパソコンと異なり、スマートフォンには高い成長性が見込め、まだホワイトスペース(ビジネスモデルの空白領域)が残っていると考えたのだ。

そこで同社が打ち出したのが、「スマートフォン・ネーティブ」という方針だった。スマートフォンは機能的にはパソコンの小型版といえるが、使用状況が異なり、ユーザー層が格段に広い。今後を展望すると、スマートフォンは、1人1台所有する可能性が高い。そうであるならば、スマートフォンで使い勝手のよいサービスを提供していこうと考えたのである。

このような方針の下、開発されたLINEは、不特定多数と話をするのではなく、特定の誰か、知っている誰かと話すことができるようなシステムを志向した。

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